内定が決まり、次にしなければならないことは、雇用主との詳細な労働条件を決めることです。小規模な企業では、雇用主が労働条件の明示義務を知らないことも考えられます。
しかし、労働条件を決めずに入社してしまうと、後々になってトラブルになってしまいます。ですから、労働条件は必ず確認するようにしてください。
そこでこのページでは、労働条件通知書の書き方や注意点などを紹介します。
労働条件通知書とは
雇用主である会社と雇用者である「あなた」が、労働条件について書面で契約をかわす文書を労働条件通知書と言います。
書き方
労働条件通知書に決まった書式はありません。ですから、特にこう書かなければいけないという決まりはありません。
ただし、労働基準法によって、以下の5つの記載事項が決められています。
【5つの記載事項】
- 労働契約の期間
- 就業の場所、従事すべき業務
- 始業、終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇(交代制など)に関すること
- 賃金(支払い方法、賃金の締め、時期、昇給の有無)
- 退職に関すること
以上は、必ず書面で雇用者に伝える必要があります。
【労働条件通知書(例)】
雇用条件がしっかりしている企業であれば、決められた書式があります。ただし、中小企業の場合、細かい労働条件を記載せず、ペーパー1枚だけというのも少なくありません。
私は20回以上の転職経験がありますが、傾向として中小企業は、労働条件があいまいな場合が多いです。そして、決まった書式がない企業ほど、トラブルになりやすいので労働条件の契約を書面で残すようにしましょう。
労働条件通知書は、下の図①を参考にすると簡単に作成できます。書き方のポイントとして、下の図①の「その他」の欄に、あなたの希望する条件を記載するようにしてください。また、給料の支払い条件だけではなく、評価の基準、転勤の有無、雇用形態、退職の規定など。他にも、あなたが聞きたいことがあれば、必ず確認しましょう。
条件項目について、下の図②のチェックポイントを参考にすると良いと思います。記載条件が多くなる場合は、もう1枚ペーパーを追加してください。
注意点
このチェックは就業規則や、労働時間等においても同様になります。例えば、記載事項に60歳定年となっていても、誕生日の月の末日をもって退職になるのか、それとも会社の年度末で退職になるのかによって、大きく期間が変わります。
転職先に労働条件通知書がある場合は、採用先の担当者と記載事項を確認してください。提示された文書は、内容を良く確認し分からない点は、うやむやにしないようにしましょう。チェック事項は下の図②を参考にしてください。
「労働契約書」のチェックリスト 図②
□ | 労働契約を取り交わす |
□ | 従業員の住所・氏名 |
□ | 雇用を開始する年月日 |
□ | 就業場所(勤務地) |
□ | 職種と業務内容 |
□ | 勤務時間と休憩時間 |
□ | 適用される社会保険 |
□ |
休日・休暇 (年末年始・夏季休暇・有給休暇) |
□ | 雇用形態 |
□ | 給与体系・給与額・各種手当て |
□ | 賃金の締切日・支払日 |
□ | 昇給規定 |
□ | 賞与の計算方法・支払日 |
□ | 職業訓練の時期や内容 |
□ | 試用期間 |
□ | 災害補償・業務外の疾病に対する扶助 |
□ | 休職規定 |
□ | 退職の時期と手当 |
□ | 就業規則に目を通す |
□ |
就職先会社の概要研究 (商品知識・取引先など)をする |
□ | 提出書類をそろえておく |
□雇用保険被保険者証 | |
□年金手帳 | |
□源泉徴収票 ※前の会社を退職した年のうちに再就職した場合 |
これだけは知っておきたい「転職」の基本と常識
箱田忠昭著より引用
私の失敗談
ここで、1つアドバイスをします。
それからしばらしくして、A社、B社同時に内定を頂きました。どちらも事務職採用で休暇や転勤が無いことなど、さほど違いはありませんでした。A社とB社の違いは給料が少しだけA社の方が良かったことだけです。私はこの「給料が少し高いという理由だけでA社に決めた」のです。
というのも、A社の社長の奥さんが面接の時に言った言葉「私は基本的に人を信用しません!」の一言でした。それは労働条件通知書にも表現されていました。A社はB社に比べ、倍以上の労働条件の記載事項があったのです。おそらく、その奥さんは、何度も社員から裏切られ、その都度「記載事項が増えていった」と推測します。
ですから、面接の時にも、わざわざ「私は基本的に人を信用しません!」と言ったのでしょう。私はその一言が心の中に引っかかっていたにも関わらず、少し給料が高いという理由だけでA社に決めてしまいました。
その後、A社に入社したものの、社長の奥さんの、人を信用しない態度についていけず、会社を辞めることになりました。そのとき、私は直観を信じることの大切さを学んだのです。
まとめ
以上のように、上記のチェックポイントを参照にしながら「労働条件通知書」の取り決めをおこなってください。疑問点があれば、その場で質問し、あやふやなままにしないでください。
「あまり質問すると迷惑にならないだろうか」と思うかもしれません。しかし、失敗を事前に防ぐためにも、できるだけ疑問に感じたことは聞くことです。
最後に、このページで使用している労働契約通知書(労働契約書のチェックリスト)の無料ダウンロードを添付しておきます。ご自由にお使いください。
天職に生きる5つのステップ